高島秋穂さんの詩誌時評『No.006 角川短歌 2014年09月号』をアップしましたぁ。特集「60歳からの短歌」を取り上げて、穂村弘さんが聞き手の『馬場あき子 自伝』について書いておられます。「60歳からの短歌」といふ特集には、「停年で時間ができ、新しい生きがいを探している人たちを短歌の世界に導こうという意図」があります。高嶋さんは「文学には基本的に年齢制限はないと思います」と書いておられますが、柔軟な思考力と感性を持っていた方が良いといふのが今回のコンテンツの趣旨です。今年87歳の馬場あきこさんの思考力と感性は、驚くほど柔らかいんですね。
高嶋さんは馬場さんの発言について、「戦後から現代に至る前衛運動を、(藤原)定家文学の変遷・・・になぞらえることで・・・考察しようとなさっていると思います。一つは言うまでもなく前衛以降の短歌の行く末です。前衛は・・・一種の言語革命です。・・・革命が終わった後には革命前とは質の異なる秩序世界が自ずから構築されるのが普通です。二つ目は前衛の時代を経験した作家の晩年に関する考察でしょうね。・・・焦点となるのは・・・口語短歌です。・・・馬場さんは、驚くべき柔軟さで現在大きな潮流となっている口語短歌ブームと前衛以降の短歌、あるいは作家の晩年の平明指向を統合的に考察しようとなさっているように思います」と批評しておられます。
若い作家を中心に一大旋風を巻き起こしている口語短歌は、現在進行形の文学動向であり、馬場さんはもちろん、高嶋さんも「評価がはっきりするのはまだ先のことだと思います」と書いておられます。ただかなりの数の作家が魅了されている新しい文学動向には、それなりの意味・意義があるはずです。年齢に関わらずそれについて興味を持ち、考察することが必要だと高嶋さんは論じておられます。
■ 高島秋穂 詩誌時評 『No.006 角川短歌 2014年09月号』 ■