小松剛生さんの連載ショートショート小説『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『第02回 いつかハリケーンが来るまで/スカートをぶつけた日/明日、ミラノでは雨が降るらしいけど』をアップしましたぁ。第1回辻原登奨励小説賞受賞作『切れ端に書く』の作者、小松剛生さんの連載小説です。連載小説といっても内容が違うので、文体と雰囲気で統一感されている作品です。んで不肖・石川は、『スカートをぶつけた日』の疑問を拾う仕事のお話が好きだなぁ。
『スカートをぶつけた日』の中で、文学君がニワさんに小説の話をするシーンがあります。「「すごく良いタイトルが思い浮かんだんですよ」(中略)/――ポニーさんのひづめ。/それだけ書かれていた。/「どうです、いいでしょう?」/あんまりに彼が嬉しそうに聞いてくるので、ニワさんもよくよく考えもせずに「そうかもね」と答えてしまう。/「そうでしょう」/「うん。で、いったいどんな話なの」/「いえ、それはまだ何も決めてません」/
「あのね」」と続くわけですが、こういふ箇所に、小松さんといふ作家の特徴が良く出ていると思います。
小説という言語芸術は、当たり前ですが考えないと書けない。でも考え過ぎても書けなくなる(爆)。小林秀雄はとっても頭のいい方で、初期には詩や小説も書いていますが、小林秀雄的基準で言うと、はっきり言って知的に劣る中原中也や大岡昇平のやうな詩や小説は書けなかった。小説で何を表現するのか考えるのは大事ですが、小説とはどういう言語芸術なのかを直観的に捉えることは、もっと重要なのではなひかと思いますぅ。