菜穂実さんのジェットコースター小説『ケータイ小説!』(第33回)をアップしましたぁ。相変わらず動きのある小説だなぁ。別荘から東京渋谷の喫茶店に移動するわけですが、そこで物語のフェーズが変わります。一つのまとまった現実世界を主人公が動くことで多面的に描き出し、その全貌を明らかにするわけですね。菜穂実さん、テクニシャンでありまふ。
もんのすごく単純なセオリーなんですが、動きのない小説って、そんなに長く書けないものなのでありまふ。私小説は30枚から50枚くらいが普通ですが、移動しても2箇所くらいです。その分、主人公の内面独白が多くなるわけですが、人間の内面なんてそんなに複雑なものぢゃない。ピリッと書こうと思うと枚数は意外なほど短くなる。へたくそな私小説といふか、文芸誌編集部に無理矢理私小説を書かされちゃったりすると、やたらと内面化された風景描写などの〝マゼモノ〟が多くなったりしまふ(爆)。
んで激しく主人公が動き回る作品にすると、必然的に内面描写が少なくなる。動く、移動するといふことは、それ自体が作品世界の描写であり、何事かを語っているわけです。純粋読者でいるうちはわからないと思いますが、優れた小説には無駄な動きはないわけです。動く時には作品世界の多面性があらかじめ設定されているわけで、衛星のように動きながらそれを描写してゆく。だから内面独白は少なくていい。長篇小説の場合、この方法は不可欠です。こりは実際にやってみるとご納得いただけると思いまふ。
んで菜穂実さんはまるこちゃんに、『最近までメイド喫茶っておみやげくれんのかと思ってた』と言わせております。高齢者向け冥土喫茶、今の世の中だと実在しさうだなぁ(爆)。危機的状況になっても軽~いノリのまるこちゃん、不肖・石川は大好きでありますぅ。