北村匡平さんの映画批評『創造的映画のポイエティーク』『No.007 アンチ・スペクタクルとしての手の物語―クリント・イーストウッド『ヒア アフター』』をアップしましたぁ。結論めいたことを先に言いますと、今回の北村さんのコンテンツは刺激的で面白いですよ。映画の面白さ、奥深さ、それに北村さんの映画に対するパッションが良く伝わってきます。北村さんふうに言うとpassion=情熱/受難でせうね。
北村さんによると、『ヒア アフター(Hereafter)』には『1. after death (死後)』と『2. in future/from this time (未来/これから)』という意味があります。主人公は死後(死んだ人)と交信することができ、他者に触れるとその人の過去がわかってしまう特殊能力を持つ青年です。それゆえ彼は他者と文字どおり触れ合うことが怖い。自らの特殊能力に呪われているのですね。しかしこれだけならよくあるオカルティックな主題の映画です。北村さんは『ヒア アフター』を『この映画は手をつかむ映画なのだ』と捉えておられます。
イーストウッド監督は、ハリウッド映画では定番の観客を惹き付ける主題を援用しながら、最も単純な人間の所作(映像)にこの作品の主題を集約させている。それゆえ『別々の場所に暮らす主人公たちが出会って握手を交わすだけで物語を終えるこの映画がなぜこんなにも感動をもたらすのか、それを言語化することは非常に困難な作業』(北村さん)になるわけです。北村さんはその〝困難〟を見事に乗り越え解明しておられると思います。
詳しくはコンテンツをお読みいただければと思いますが、『ヒア アフター』という作品はもちろん、北村さんの映画批評の姿勢がよく表現された内容になっています。映画はここまで詳細に読み解くことができるのかと、不肖・石川は感心し驚きました。またそれは、北村さんの映画を読む能力と情熱のたまものであります。北村さん、だんだん調子が出て来ましたね。書きたいだけどどっと書いて、ある作品について書きつくした方がこの作家の特徴は出るようです。次回も楽しみでありますぅ。
■ 北村匡平 映画批評『創造的映画のポイエティーク』『No.007 アンチ・スペクタクルとしての手の物語―クリント・イーストウッド『ヒア アフター』』 ■