山本俊則さんの美術展時評『No.038 瓜南直子作品集『兎神国物語』』をアップしましたぁ。瓜南直子さんは1955年に生まれ、2012年に56歳でお亡くなりになった日本画家です。しかし山本さんが書いておられるように、いわゆる日本画の系譜に一直線に連なる作家ではなく、日本画の画材を使った現代画家と言っていいでしょうね。
山本さんとちょっとお話したのですが、瓜南さんは生前超有名な画家ではなかったですが、多くの人々から注視されていたようです。山本さんの言葉を借りれば、「この画家には何かあるな」と感じていた人が多いようですが、その焦点をはっきり結べないうちにお亡くなりになってしまった。お亡くなりになってすぐに画集と遺稿集が出版されたことが、生前から瓜南さんが注目されていたことの証明だと思います。ただそのような漠然とした評価がはっきりして、ご本人が喜ぶような形でスポットライトを当てられなかったのは残念ですね。素晴らしい画家だと思います。
山本さんは『瓜南さんは自分では矛盾と寄り道だらけの人生を歩んできたと感じていたようだが、彼女が内面に巣食うデーモニッシュな欲望を爆発させた際には常に正しい選択をしていると思う。三十三歳で絵を描き始め、心残りだったろうが、それでも画家として一定の成果を残し得たのは、瓜南さんが正しい直観に裏付けられた知性を持っていたからだと思う。彼女の知性が遅い出発を稔りあるものにしたのである』と書いておられます。
それはあり得るでしょうね。不肖・石川も遺稿集を読みましたが、大変頭のいい方だと感じました。山本さんに限らず、瓜南さんの絵に関する批評がたくさん現れて、その評価が上がれば良いなと思います。せめてもの手向けにしかなりませんが。
■ 山本俊則 美術展時評『No.038 瓜南直子作品集『兎神国物語』』 ■