田山了一さんのTVバラエティ批評『No.045 無人島0円生活』をアップしましたぁ。よゐこの濱口優さんの『獲ったど~』で有名な、テレビ朝日さんのバラエティを取り上げておられます。不肖・石川も見ておりますぞ。最近、土屋アンナさんがよく出演されていますね。バラエティって、放送時間をチェックしてまで見ることはなかなかないのですが、『無人島0円生活』は見始めるとじーっと見てしまふ番組です。人の琴線に触れる何かを持っているやうです。そこんところ、田山さんはシャープに分析しておられます。
『『いきなり!黄金伝説。』・・・の背景には長い不況があり、その当時は「節約を楽しむ」みたいな番組があちこちで見られたのだ。・・・節約企画は・・・呑気にテレビを観ていられる層が楽しみながら眺めるわけで、・・・「こうやって、一ヶ月一万円でも暮らしていけるじゃないか」という確認と安堵というのも混ざっていたように思う・・・エンゲル係数や可処分所得の額が変わろうと、本質的に大差ないとなると、その本質のありかを見たくなる。・・・無人島生活ではまず金銭が意味を持たない。浮浪者同様でありながら豪奢というあり様に、何かしら本質の影を見ようとするのは視聴者として当然の期待だ』と田山さんは書いておられます。
そうなんですよねぇ。TOKIOのDASH島もそうですが、テレビで無人島生活を放送するためには高級レストランのグルメリポートとは比較にならないほどお金がかかります。田山さんは『部屋の中での一ヶ月一万円生活と、短く豪奢な無人島0円生活との共通点は、孤独感ということだろう。・・・一方で節約生活は金を残すこと、すなわち金の使える浮世というものが部屋の外に拡がっていることが大前提だ。それでも両者には、社会との距離感を感じさせるという、ある意味テレビにあるまじき共通点がある』とも批評しておられます。『無人島0円生活』はどこかで金と孤独の関係を相対化している番組だと思います。
田山さんは前回『孤独のグルメ』を取り上げられましたが、映像作品として、あるいはブログなどを含む文章で食べ物を題材にする時には工夫が必要です。グルメにおける孤独感は最高のスパイスでせうね。伊丹十三監督の『タンポポ』では役所広司さんが、死の間際まで山芋が詰まったイノシシの腸の食べ方について語り続けます。感動的なシーンでありました。ほんで最低のグルメスパイスは、人の金で飲み食いしたことの自慢だと不肖・石川は思いまふ(爆)。
■ 田山了一 TVバラエティ批評『No.045 無人島0円生活』 ■