三浦俊彦さんの連載小説 『偏態パズル』(第12回) をアップしましたぁ。日本が誇る世界的特殊作家、三浦俊彦さんの新作ですよ~。不肖・石川、不肖だけあって頭の悪さには定評があるのですが、特に三浦さんにはコンプレックスを感じますねぇ。このお方、ホントに頭がいい。『偏態パズル』 は、突き抜けて頭のいいお方でなければ絶対に書けない小説であります。
今、文壇で前衛と呼ばれている小説は、一昔前のポスト・モダニズム思想を焼き直した作品がほとんどです。金魚屋のアドバイザーの方たちが、詩壇で起こったことは数十年後に文壇で起こると言っていましたが、純文学マーケットを含め、まさにその通りになっています。小説の世界では今、詩の世界で 1960 年代に既に試みられた言語的成果が形を変えて試みられているわけですが、誰が考えてもそのような小説は、近い将来、人々の記憶から消え去るだろうと思います。必ず新たな才能を持った作家が現れて来るのです。彼らが時代の核心を表現していれば、10 年続こうと 20 年続こうと、過渡期の作品は吹っ飛んでしまうのです。
でも三浦さんの作品は違うな。今回の冒頭は鈴木志郎康やねじめ正一の詩を想起させますが、質的に異なります。三浦さんの作品には表現の核がある。抽象的なものであれ、肉体に根ざしたものであれ、表現のための確信 (核心) を作家が持っていなければ、作品は空疎な言語遊戯になってしまいます。『偏態パズル』 はスカトロジーを主題にしていますが、このわかりやすいけれども、じつに危うく厄介な禁忌を軽々と越え、自由に表現していく三浦さんの知性は尋常ではないと思うのでありますぅ。
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