『安井浩司「俳句と書」展』 開催記念コンテンツをアップしましたぁ。新連載第 2 回目の田沼泰彦さんの 『No.002 『声前一句』の眼 第 2 回』 です。安井浩司さんは昭和 52 年 (1977年) に 『声前一句』 という評論集をお出しになっていて、田沼さんの論考はこの本を巡るものです。第 2 回目は、『声前一句』 から 『河原枇杷男』 の回を取り上げておられます。
河原さんは昭和 5 年 (1930年)、兵庫県宝塚市生まれの俳人さんです。安井さんと同様に、永田耕衣さん主宰の 『琴座』に同人参加され、高柳重信の 『俳句評論』 にも参加されています。いわゆる前衛俳人といふことになるのでしょうが、前衛作家の中では比較的一般的人気の高い俳人の方のようです。
野菊まで行くに四五人斃れけり
在る闇は蟲の形をして哭けり
露一個頭蓋の中の鈴一個
死にごろとも白桃の旨き頃とも思ふ
有季定型俳句と比較すれば難解なのでしょうが、河原さんの句はとても読みやすいです。ただ死といいますか、闇の気配がいつもつきまとっているような感じですね。その冥さがなんともいえない独自の世界観を生んでいるような気がします。
安井さんの 『声前一句』 は薄い本なので僕も読ませていただきましたが、ん~これは一筋縄ではいかん本ですね (笑)。名句とか秀句が選ばれていないし、作品の解説も独特です。俳句のプロフェッショナル向けに限定して書かれた本だといふような印象を持ちました。素人ではちょっと読解しきれないかもしれない。田沼さんの連載に期待大ですぅ。
■ 田沼泰彦 『No.002 『声前一句』の眼 第 2回』 ■