【金魚屋新人賞受賞作】酒井聡 連作エセー No.003『貧乏のたまもの』をアップしましたぁ。この作家の貧乏へのスタンスは面白いですね。〝貧乏のたまもの〟とあるように、貧乏であることの辛気くささがない。いわゆる貧困問題とは無縁です。むしろすべてが精神の飢えに繋がっています。
作家はまあ貧乏症です。ある作品を書き上げて、それで満足してしまうなら作家にはなれない。そういう人は作家ではない。書き上げた途端にその作品は相対化され、次の作品に興味が向かう。いつかいい作品が書けると思っている。過去の作品の中に傑作がありそれが評価されたとして、〝それがどうした〟と思っている。書き続けることにしか興味がない。
酒井さんの精神的飢えは作家的なものです。ただそれが現代社会と密接に結びついている。贅沢をしても精神的飢えは襲ってくる。社会的成功を収めたとしても、自分がピンポイントで得たいものが得られなければ飢えはおさまらない。豊かさの中の飢え、お金や名誉や安定を得た上での上、そういった精神的上を描ける作家は少ない。余裕があるフリして追いつめられる姿を見たいと思わせる作家です。
■【金魚屋新人賞受賞作】酒井聡 連作エセー No.003『貧乏のたまもの』日本語版■
■【金魚屋新人賞受賞作】酒井聡 連作エセー No.003『貧乏のたまもの』英語版■
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