紫雲 連載小説『クローンスクール』(第14回)をアップしましたぁ。最後の戦いが始まりました。外組と培養組がタッグを組んで権力に立ち向かいます。クローンスクールの本当の目的が明らかになったからです。
『クローンスクール』はC国をモデルにしていますが、高度資本主義社会でC国は最も小説的想像力を掻き立てる国かもしれません。ベースは資本主義なのですがシステムがまったく違う。現代C国は100パーセントキャッシュレス社会です。屋台で軽食を買ってもキャッシュレス決済。自動販売機もそう。紙幣は流通していません。外国人が入国するときは指紋登録が必要。こういった情報は恐らく一元管理されています。ネット環境を含めて蛇口を絞り、緩めることで国を管理できます。言ってみればお金も情報も国家のもの。
「最初から矯正が目的なら、どうして外組や培養組に分ける必要があったの。十八歳になったら、すぐ工場へ送ればいい話じゃない」
1―30が胡の髪の毛を引っ掴んだ。
「おまえは王先生を貶めたいだけだ。だから、そんな出任せを」
「『矯正ありき』を党が認めると思うか。いずれは世界を納得させなければならない、壮大なプロジェクトだ。高い教育を施し、天才児を見つけるというお題目こそが必要なのだ」
「何もかも、メンツの問題ってこと」
「いまさら何を驚いてる。だだっ広いこの国で使える、たったひとつの共通言語だよ」
紫雲『クローンスクール』
政府が独自の裁量権を持つ民間にお金や情報を管理させず、一元管理するとどうなるのか。大きな政府は失敗が許されない。無謬でなければなりません。「何もかも、メンツの問題」ということになります。『クローンスクール』はフィクションですが、現実に基づくSF的巨大管理国家の本質を鋭く描いています。
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