萩野篤人 連載小説『春の墓標』(第02回)、連載評論『〈寓話〉死んだらそれきり。』(中編)をアップしましたぁ。『春の墓標』は母親の死と父親の介護を描いた小説です。私小説と言っていいでしょうね。多くの人にとって切実な問題でもあります。
ただ問題というのは高齢化や介護を社会問題として捉えた場合で、当事者の多くにとっては日常です。問題として自分の外に放り出さないから日常になる。この日常は苦しいのか。ある側面では苦しい。ある側面では安心感をもたらす。ある側面では滑稽でもある。日常になれば漠然とであり人間の生と死についてあらゆることを考えることになります。
小説と評論をお書きになりますが、萩野さんの文学的主題は一つだと思います。理想を言えば評論で捉えきれない部分を小説が引き受ける。ただ小説は小説でどんなに長くても人間存在の一つの側面しか描けない。だからまた評論を必要とする。無限ループになるわけですが、石川はそれでいいと思います。空虚なのか充満しているのかわかりませんが、主題の核に少しでも接近できれば萩野文学は成功です。
■萩野篤人 連載評論『〈寓話〉死んだらそれきり。』(中編)縦書版■
■萩野篤人 連載評論『〈寓話〉死んだらそれきり。』(中編)横書版■
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