松原和音 連載小説『学生だった』第11回をアップしましたぁ。いよいよ卒業編です。多くの人は小学校、中学を卒業し、高校、大学を卒業する人もいるわけですが、大学卒業は学校システムの最後の卒業です。後は社会人になるわけで、不安が入り混じる。『学生だった』はそんな心の機微をうまく捉えています。
悩んでなんかいない。立ち止まってもいない。お腹が空かない。なんでだろう。深刻になることなんてないんだ。一人で、伸びをする。
「あの人、今三次性徴してる」
ああ。その通りだと思った。やっと、腑に落ちた。表面をなぞっているうちになにかが通りすぎていってしまったのだ。
松原和音 連載小説『学生だった』
クスッと笑ってしまうような記述ですが、大学卒業は確かに三次性徴かもしれません。大学卒業と同時に人は変わります。変わらないと社会では生きていけないから変わるわけです。ただ変わりたくない人もいる。その場合どうすればいいのか。社会は容赦なく襲いかかって来る。変化しながら変化しない、変化できない部分を守ってゆくしかないですね。
文学者はほぼ全員ガキっぽい。「詩や小説で食えるわけないだろ、夢見てないで働け」と親身になって言ってくれる親などの方がマトモなんです。でも「しかし、しかし」と思い続けるなら、文学という営為の〝意義〟を見つけるしかない。それは〝自分のため〟という理由だけでは足りない。必ず社会を包含した意義でなくてはなりません。それが朧にであれ見えてくるとずっと気楽にガキでいることができます。
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