寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第21回)をアップしましたぁ。ようやく夫婦の、というか子どもの誕生を巡る男と女の感覚的、社会的距離が縮まり始めました。このあたりが男の側から見た妊娠小説の醍醐味でしょうね。男女平等とかいろいろ言っても、違うものは違うのです。
人間社会には常にマジョリティの大道とマイノリティの小道があります。どちらも小説の題材になり得ます。たたマイノリティの小道の全面肯定では小説になりにくい。マジョリティとの対立や軋轢を描かないと読者を獲得できないでしょうね。自己中心的な自己主張だけではダメで、それが社会によって試されるのが小説というものです。
子どもの出生によって精神が揺れるのは人間だけです。また乳幼児死亡率が高かった時代と医療が発達した現代ではその揺れの機微も異なります。さらに親にとって子どもは全人間存在の中で別格。バルトの『明るい部屋』にありましたね。「師よ、あなたは常に死は幻想だとおっしゃっていますが、なぜいつまでの息子の死をお嘆きになるのですか?」「然り、死は幻想也。されどわが息子の死は超幻影なり」です。子どもを巡っては、作家それぞれの超幻影が試されるとも言えるでしょうか。
■寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第21回)縦書版■
■寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第21回)横書版■
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