Interview of Gold Fishes 第27回 上田実先生インタビュー『生命(いのち)の水で再生する〜培養上清』(下編)をアップしましたぁ。文学金魚としては異色ですが、再生医療、特に培養上清液を用いた治療の第一人者、上田実先生にインタビューさせていただきました。
今回はSTAP細胞事件やiPS細胞を中心とした再生医療の問題について語っていただきました。STAP細胞事件は日本では尻すぼみで終熄してしまいました。医療の世界史に残る世紀の捏造事件と言っていいくらいの事件でしたが、その検証は徹底して行われませんでした。それには再生医療業界が抱える問題、行政が抱える問題、医療関係企業の利害などが複雑に絡まり合っていることが上田先生のお話からわかります。科学の世界も一皮剥けば一般社会の闇やゴタゴタとそれほど遠くないのですね。
素晴らしい研究には違いないのですが、山中先生がiPS細胞研究でノーベル賞を受賞なさり、それが日本人だったということもあって、医療行政は莫大な予算をiPS細胞研究につぎ込みました。iPS細胞を使えば夢のような医療が可能になり、人間は不死になるかもしれないといったことまで言われました。しかし目に見えるような大きな成果は出ていません。iPS細胞研究は、わたしたちが生きている間には画期的治療法になりそうにない。世界的に見るとiPS研究よりもステム・セル・フリーセラピー(幹細胞を使わない治療)にシフトしています。もちろん基礎研究はとても大事ですが、現状ではバランスが取れていません。行政側も一度敷いた路線を変えられないという、日本ではよくある硬直に陥っています。
どの世界でも情報が溢れかえっています。人間は自分にとって都合のいい情報ばかり集めたがりますが、フラットに情報を集め分析してゆけば自ずから道筋が見えてくるものだと思います。文学でも科学の世界でもそれは同じです。インタビュアーは小原眞紀子さんです。小原さんは現在、医家の姉妹を主人公にした小説を書いておられます。こちらも完成が楽しみです。
■ Interview of Gold Fishes 上田実先生インタビュー『生命(いのち)の水で再生する〜培養上清』(下編)縦書版 ■
■ Interview of Gold Fishes 上田実先生インタビュー『生命(いのち)の水で再生する〜培養上清』(下編)横書版 ■
■ 金魚屋 BOOK Café ■
■ 金魚屋 BOOK SHOP ■