佐藤知恵子さんの『大衆文芸誌時評』『小説幻冬 2021年07月号』をアップしましたぁ。梶よう子さんの「雨露」を取り上げておられます。明治維新で起こった上野戦争が題材の時代小説です。御維新は京都・大坂から始まってどんどん北上してゆき、榎本武揚の箱館戦争で一応の終結となるわけです。
文学不況はかなり長引いていて、一時的なものではなく、それが常態といっていいものになっています。もち売れる本はあるわけですが、その確率(冊数)が低下しています。その中で時代小説とサスペンスは、一時期ほどではないですが、根強い人気があります。
ただ時代小説も飽和状態といった感じがありますねぇ。石川が見るところ、現代小説よりも時代小説の方が書きやすい面があります。敷居が高いようで実は低いというのが時代小説だと思います。たいていは文化文政から天保時代くらいの時代設定で、町民や吉原の人々が主人公であることが多い。史実を題材にした時代小説もありますが、チャンバラものが多いですね。
飽和というのは読者から飽きられ始めているということですが、もち時代小説というジャンルがなくなってしまうことはありません。問題はなぜ時代小説なのかということ。それを今一度確認することが、時代小説というジャンルの更新につながると思います。
■ 佐藤知恵子『大衆文芸誌時評』『小説幻冬』梶よう子「雨露」(2021年07月号) ■
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