松原和音さんの連載小説『一月のレモネード』第4回をアップしましたぁ。女子高生の日常がベースになっているわけですが、それでも波乱は起きる。
私がソニープラザをひやかしている間、様々な業界が史上最年少を更新していて、私はどの分野にも当てはまらないどころか引っかかりもしないまま高校生活を空費していた。来年には高校野球に出場する人たちは全て年下で、けどそれは当たり前でフツーなことだった。埋れていて、どこにでもいるということ。ありふれているということが気楽で、とてもしんどい。
松原和音『一月のレモネード』
スポーツや将棋の世界を見てもそうですね。世の中には才能と呼ばれるものがあり、他者になるとそれが天性のもののように思えてくる。もちろんそんなことはなくてご当人は努力しているわけですが、それでも努力だけであそこまではいかないよなーと思ってしまう自分がいる。思春期だけでなく誰もが思う事柄です。
ただま、小説はこういうフツーを描く芸術です。特に純文学はそうで普通の中に潜む希望や絶望を描く。大きな事件を起こさないで大事件を起こす。小説は人間心理だと言ってもいいでしょうね。しかし殺人などの誰の目にもわかる大事件を起こさない純文学では心理が決定的事件になっている必要がある。主人公の心理を壊れる寸前まで、もしくは壊れてしまうまで作家が追い詰めるわけです。
■ 松原和音 連載小説『一月のレモネード』第4回 縦書版 ■
■ 松原和音 連載小説『一月のレモネード』第4回 横書版 ■
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