鶴山裕司さんの連載エセー『言葉と骨董』『別府細工』(第68回)をアップしましたぁ。金魚屋から『夏目漱石論-現代文学の創出』を好評発売中の鶴山さんの骨董エッセイです。
今回は江戸後期に美濃国(今の岐阜県)で作られた銅製の鋳物、別府細工を取り上げておられます。奈良の大仏様も鋳物の一種ですから古代から鋳物は作られています。ただ別府細工は朝鮮通信使の姿を取り入れているという大きな特徴があります。そういった鋳物は他に例がない。あんましポピュラーではありませんが、根強い人気を誇る骨董であり工芸品です。んで鶴山さんの骨董エッセイは、物を通して文化を考えるスタンスがハッキリ確立していますね。物自慢の骨董エッセイ時代は終わりかな。
石川はよく知らない骨董に関しては鶴山さんに真贋の見分け方を質問しているのですが、別府細工は江戸後期に蝋型で作られた同時代作がかなりあり、それを見分けるのはけっこう難しいそうです。また別府細工は実用品として作られているので、こりゃ実用ぢゃ使えないなという物は意図的な贋作になるそうです。
今回の図版で燭台を例にして説明してもらいましたが、別府細工の燭台は蝋燭と油皿の両方が使えるようになっている。燭台の上の方が輪っかになっていて油皿を置くことができる。もし蝋燭立ての尖端が輪っかから飛び出ていたりすれば、それは輪っかを単なるデザインと解釈して作られた意図的贋作ということでした。ただ鶴山さんは「別に贋作をつかむのは恥じゃないよ」とおっしゃっていました。そうーかもしれませんけど・・・(笑)。
■ 鶴山裕司 連載エセー『言葉と骨董』『別府細工』(第68回 前編) ■
■ 鶴山裕司 連載エセー『言葉と骨董』『別府細工』(第68回 後編) ■
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