金魚屋から『夏目漱石論-現代文学の創出』を好評発売中の、鶴山裕司さんの連作詩篇『羽沢』『No.017 こわれもの』をアップしましたぁ。連作詩篇『羽沢』を含む新詩集『おこりんぼうの王様』は今年2021年初夏に金魚屋プレスから刊行予定です。
とずっと告知してきましたが、今鶴山さんは『安井浩司読本』の作業が佳境です。永田耕衣さんらの昔の安井浩司論の打ち込みから、組版までやってもらっているので、ご自分の著書の作業はちょいと遅れるでしょうな。まーこれはしょうがない。安井浩司読本は酒卷英一郎さん、大井恒行さん、九堂夜想さんと鶴山さんが編集委員で、それぞれお仕事をしていただいているはずです。夏真っ盛りですが皆さん頑張ってください。
で、今回の『羽沢』『こわれもの』は、これは戦後詩的な抒情詩でしょうね。いわゆる述志のタイプになるでしょうが、ハッキリとピリオドというか断絶線を引いているから抒情詩になる。それが戦後詩的という意味でもあります。
詩の世界では、戦後詩は終わったというのは常識になっていますが、まだ現代詩は続いていると考えている詩人たちが大半を占めるようです。でも戦後詩と現代詩は同時発生しており、現代詩だけが生きのびているとは考えにくい。現代詩を「現代書かれている詩」という意味で現代詩と呼ぶのは勝手ですが、1950年代から80年代にかけて一世を風靡した難解な現代詩のレガシーを排除することはできない。いまだに自由詩を現代詩と呼ぶのは、石川にはなんだかみみっちく思えます。
で、鶴山さんは戦後詩や現代詩はモダニズムやダダ、シュルレアリスム詩と同じように過去の詩の一つの潮流として捉えた方がいいという考え方なので、今の詩の世界では少数派でしょうね。詩は原理的に自由詩で、状況的に言っても現代詩という一般に定着した呼称を自由詩に戻さなければ自由詩の世界での思考のパラダイム転換は難しいとお考えなので、少数派というより孤立してますな(笑)。
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