高嶋秋穂さんの詩誌時評『歌誌』『角川短歌 2020年10月、11月号』をアップしましたぁ。岡井隆さんの追悼特集と角川短歌賞を取り上げておられます。岡井さんの死去は戦後前衛短歌の終焉を感じさせますが、一方で歌壇では新たな試みが次々に現れてきていて元気です。今、小説界も含めて文学の世界では歌壇が一番活気があると思いますです。
高嶋さんは「一昔前の一九八〇年代頃までは大学生たちは盛んに自由詩を書き卒業し就職してしばらくすると詩を書かなくなるのが普通でした。今はそんな青春詩のフィールドが短歌に移っている印象です」と書いておられますが、あーそうかも、と石川も思ってしまいました。石川が大学生の頃は短歌・俳句を書いているなどと言おうものなら、「何が悲しくていい若い者がそんな古くさいことを」と言われかねませんでした。今は完全に逆転しましたね。
統計はないでしょうが、一番創作人口が増えているのが短歌だと思います。しかも若い世代が大量に流入しています。俳句人口は横ばいでしょうけど、若者より50代以降の新規参入者が多いと思います。自由詩の世界が危機的で、一時期に比べれば創作人口が激減しています。詩人さんたちはこの現状を何とかしなければならないでしょうね。ただ自由詩の世界は短歌・俳句よりも書き続けるのが難しい。詩は青春文学の側面が確実にありますが、自由詩は青春期を過ぎて書き続けるのがうんと難しいのです。
たいていの作家は自分の創作ジャンルにばかり目が行って、他ジャンルの動向には無関心だと思います。小説ならそれでいい面もあるのですが、詩のジャンルに関わっている作家は自分の詩のフィールド以外の詩のジャンルにも興味を持った方がいいと思います。
石川が見ていても歌壇の運営の在り方はかなり理想的です。俳句が度し難い結社議席的力の論理で動く大問題を抱えているのは周知の事実ですし、自由詩が口語短歌やニューウエーブ短歌などのような新しい動きを生み出せていないもの確かです。俳句や自由詩の世界は変わらなければならない問題を抱えているわけで、その解消のヒントとしても歌壇は参考になると思います。
■ 高嶋秋穂 詩誌時評『歌誌』『角川短歌』「特集 哀悼 岡井隆」(2020年10月号) ■
■ 高嶋秋穂 詩誌時評『歌誌』『角川短歌』「第66回 角川短歌賞発表」(2020年11月号) ■
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