寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『助平(すけべい)ども』『三十八、逃げても無駄』をアップしましたぁ。久しぶりのセックスシーンですね(笑)。「難しく考えちゃダメだ。難しいと興味失せるぞ」とありますが、この小説のテーマでもあります。「逃げても無駄」はダブルバインドとしても響きます。
世の中、つまり人間社会は男と女しかいないわけで、その様々なありようは永遠のテーマです。社会学的にはジェンダーやフェミニズム論になったりするわけですが、小説でも大きな柱になります。石川は駆け出し編集者の頃に、大衆文学といふか小説ヒットメーカーの先輩編集者に『純文学ぅぅ? なに寝ぼけたこと言ってんだ、小説は男と女と金なんだよっ』と言われてヒジョーにショックを受けたことがあります。ただ年を取ってきて、よーく考えてみると先輩編集者の言葉はある意味正しいです。男と女と金の話を外した小説は面白くならない。なりにくい。特にそれを意図的に外して優れた作品にするのはとても難しい。
小説に限りませんが、何かの大前提を〝外す〟ことは前衛的な試みに繋がります。若くて意欲的な作家は外すことに血道を上げたりします。ただ現代では外す余地が非常に少なくなっている。たいていのことはやり尽くされたと言っていいところがあります。前衛といっても過去の試行の焼き直しという雰囲気が漂います。
石川の感覚では、こういった時代には〝正面中央突破〟が最も影響力を及ぼす前衛になるのではないかと思います。小説なら男と女と金を無視しない。真正面から突っ込んでゆく。そしてその表面的なテーマを突き破る、と。『助平(すけべい)ども』は男根主義小説ですから、男の側から正面切ってテーマを突き抜けて欲しいですね。
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『三十八、逃げても無駄』縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『三十八、逃げても無駄』横書版 ■
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