遠藤徹さんの連載小説『物語健康法(入門編)』(第10回)をアップしましたぁ。『物語健康法(入門編)』は小説の力、物語の力というものを考える上でとても重要な作品です。
今回は中学生が主人公真田のセミナーで発表した、コーヒーを巡るお話が出てきます。コーヒーカップの受け皿に、象とコアラとライオンがいて、それをコーヒーに落として溶かすと味がどんどん変わるというお話しです。「うん、あれはなかなか面白かったな、と真田はふっと微笑む。そんな風に、一杯のコーヒーだって、呑むたびに真田にとっては新しい体験となるのだった」とあります。
こういったところに物語の発想方法があるのは言うまでもありません。小説家という人たちは、たいてい最初は必死で、慣れてくるとほとんど無意識的に物語の種を集めるようになります。大きな事件とは限りません。日常生活のほんのささやかな出来事から物語を発想してゆくわけです。
もちろん物語の骨格になるプロットは事件と言えるような出来事が中心になります。しかしそれでは小説はもたないわけで、リアリティを得るには細かい出来事を集積してゆく必要があります。そちらの方が重要と言えば重要で、小説の実在感は大きな事件より細かい物語で形作られているところがあります。
『物語健康法(入門編)』は小説であり物語論ですが、この作品で書かれている事柄は小説を書く際にも様々な形で援用できます。遠藤さん、生粋の物語作家ですから。ホラー作家として名をはせましたが奥行きが深い。どんな物語でも簡単に作れてしまうのです。
■ 遠藤徹 連載小説『物語健康法(入門編)』(第10回)縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『物語健康法(入門編)』(第10回)横書版 ■
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