寅間心閑さんの肴的音楽評『No.054 ルーツあり』&大畑ゆかり原案 寅間心閑著 新連載小説『もうすぐ幕が開く』(第14回)をアップしましたぁ。音楽評ではエスペランサ・スポルディングが登場します。ん~ビジュアルも音楽も素晴らしいアーチストです。渋いっ。寅間さんの酒飲みエッセイを読んでいると〝忙中閑〟ということがよくわかりますね。基本独り飲みです。仲間を集めて飲んでいると、こういったエッセイは書けないでしょうね。
『もうすぐ幕が開く』は越路吹雪さん登場の最終回です。今回のお話しに出てきますが、越路さんは最晩年に宇野重吉さんの劇団民藝の舞台にお立ちになりました。非常に体力・気力を使う二人舞台で相方は米倉斉加年さん。越路さんは浅利慶太さんの元を離れたわけですが、その機微が描かれています。
これは書いていいでしょうが、劇団民藝は戦後の左傾劇団であります。創設者の一人である滝沢修は村山知義とともに戦前に治安維持法で逮捕されて収監されています。大正から昭和にかけて新劇が体制に異議を唱える芸術集団だったことがあり、劇が終わると演出家などが舞台に登場してアジることもありました。宇野さんも治安維持法で逮捕歴があります。
もちろん宇野さん演出の舞台『古風なコメディ』でも越路さんは歌を歌ったわけですが、四季の浅利さんの元を離れて民藝の舞台に立ったのは、今度は演技を極めたいという思いがあったからでしょうね。もちろん舞台と政治が密接に連動しているわけではありません。ただ様々な思想的、社会的背景を持った人たちが戦後の演劇や舞台を作り上げてきたことが『もうすぐ幕が開く』からはよくわかります。均一な背景の人たちの中から新しいモノは生まれにくいのです。
■ 大畑ゆかり原案 寅間心閑著 連載小説『もうすぐ幕が開く』(第14回)縦書版 ■
■ 大畑ゆかり原案 寅間心閑著 連載小説『もうすぐ幕が開く』(第14回)横書版 ■
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