遠藤徹さんの連載小説『ムネモシュネの地図』『第25回(十)象の後足(ドッペルゲンガー)』をアップしましたぁ。ドッペルゲンガーとは自分と瓜二つの存在を見る、あるいは生み出すことで、SFやホラーではお馴染みの怪奇現象です。だいたいは不吉な現象と考えられています。心理学的に考えてもそうですね。自我意識が分裂・乖離した場合にドッペルゲンガー現象が起こるわけで、それは人格崩壊の表れです。
『ムネモシュネの地図』では、ドッペルゲンガーといふか、憑依や二重性ということが非常に上手く使われています。何かに、誰かになりたいということは、人間しばしば抱く欲望(願望)です。しかし他者になりきってしまうと様々な不都合が起きる。自分が理想としている存在になり切ったとしても同じことが起きます。理想になるということは、理想など、存在しないと知るのと同義ですからね。
ただ意図的なドッペルゲンガーとは別に、無意識的なドッペルゲンガーも存在します。つまり自分を誰かに、他者に重ねないと生きていけない場合です。この場合は憑依する側の人格が危機的な状態にあります。憑依する側の危機が、憑依される側の存在によって救われているわけです。こうなるとドッペルゲンガーも複雑です。元に戻しても、オリジナル人格の統一性や強度が保たれるかどうかわからない。ドッペルゲンガーは様々に考察可能ですし、小説としていろんな活用法があるわけです。
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第25回(十)象の後足(ドッペルゲンガー)』縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第25回(十)象の後足(ドッペルゲンガー)』横書版 ■
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