ラモーナ・ツァラヌさんの連載小説『希望の色』(後編)をアップしましたぁ。ラモーナさんの新作小説です。近未来が舞台で環境問題をテーマにした小説の完結編です。短編ですがちゃんとドラマチックな展開になっています。
短編小説は小説の中では贅沢な作品です。一作ごとに違う舞台やテーマを設定しなければならないからです。だから小説家は技術的にこなれてくると長編を書き始めたりする。贅沢にテーマを使っていたのでは、アイディアのストックが尽きてくるからです。また短編では描ききれない登場人物の言動や内面を、より深く掘り下げたくなるのです。村上春樹さんのように短編で梗概を書いて、それから長編に仕立ててゆく作家もいます。
ただ短編と長編は小説技術面で全く異なる構造体です。短編の書き方は引き延ばしてゆくと200枚弱くらいまでは書ける書き方ですが、300枚を超えると書き方を変えなければなりません。200から300枚くらいの間に決定的な小説の質的変化が起こるのですね。短編を連ねれば長編になるわけではない。これは自由詩でも同じです。自由詩は100行から200行くらいなら簡単に書けるはずですが、1000行を超える場合は書き方を変えなければなりません。このあたりは小原眞紀子さんが『文学とセクシュアリティ――現代に読む『源氏物語』』の「第20回 『野分』小説構造と枚数」で書いておられます。ご興味のある方は参考にしてください(笑)。
ラモーナさんの小説は一作ごとにスキルアップしています。もちろん彼女はルーマニア人で日本語で小説を書いているわけですから、奇貨居くべしの作家ではあります。しかしどの文化圏でも小説作法の基本はそれほど変わらない。ただまず日本語で小説を書き始めたということは、今後のラモーナさんの創作活動に一定の影響を与えるでしょうね。
■ ラモーナ・ツァラヌ 連載小説『希望の色』(後編)縦書版 ■
■ ラモーナ・ツァラヌ 連載小説『希望の色』(後編)横書版 ■
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