鶴山裕司さんの演劇批評、『演劇金魚』『唐組・第63回公演『ジャガーの眼』』をアップしました。唐組による唐十郎戯曲の代表作の一つ『ジャガーの眼』のレビューです。唐組は状況劇場解散後に唐十郎さんが立ち上げた劇団です。唐十郎戯曲を精力的に上演する劇団には唐組のほかに新宿梁山泊、唐ゼミがあります。
寺山修司、唐十郎の演劇はアングラと呼ばれます。アメリカン・アンダーグラウンド・カルチャーから来た名称のようですが、ぜんぜんアメリカっぽくないですね。昭和の夜店のアセチレン灯と、怪しげな見世物小屋を想起させます。混沌とした人間の無意識を表現したような舞台という意味で、微かにアンダーグラウンドにつながっていると思います。むしろ『アングラ』はもはや和製外来語になっていて、海外でもANGURAといえば寺山、唐を思い浮かべる人が多い。
鶴山さんが書いておられますが、アングラは新劇への批判から始まった。乱暴に言えば新劇は起承転結のある戯曲で、テレビドラマ、映画の舞台版といったところです。順番から言えばもちろん逆で新劇がテレビや映画にのしていった。それをひっくり返したのがアングラ演劇です。しかし寺山、唐の戯曲は単なるアンチでは終わらなかった。ただ寺山、唐のアングラ演劇の何が、どこが斬新であり、21世紀になった現在でも演劇の大いなる遺産であるのかを明らかにするのはそんなに簡単ではありません。
鶴山さんは『唐組の舞台には、唐演劇で最も重要な言葉の肉体化がある。喋りまくる肉体が熱を帯びている。もちろん一語一語クッキリ発音せず、登場人物たちがたたみかけるように、重なるように早口で台詞をしゃべれば観客は言葉を聞き取りにくい。だがそれでよい。そもそも人間は他者の言葉を全部聞いていない。混沌の中に浮かぶ特定の言葉だけが人の耳目を惹き付ける』と批評しておられます。
『言葉の肉体化』は恐らくアングラ演劇の大きなキーでしょうね。もち鶴山さんは、それを彼自身のフィールドである詩や小説で盗むと思いますよ(笑)。
■ 鶴山裕司『演劇金魚』『唐組・第63回公演『ジャガーの眼』』 ■
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