Interview of Gold Fishes 第25回 三浦雅士インタビュー『肉体化された思想』(後編)をアップしましたぁ。文芸批評家、思想家の三浦雅士さんのインタビューです。編集者としてキャリアを始められましたが、その幅広い交友を含めて戦後日本の文学界、思想界を肉体感覚で理解しておられる作家です。舞踊についてもお詳しい。
今回は主に舞台芸術について語っていただきました。三浦さんは寺山修司と仲が良かったですが、『アングラ演劇で一番重要なことは、演劇の舞台空間に歌と踊りを取り入れたことです。この重要性をみんなちゃんと論じていません。演劇を文学にしちゃったんだな。(中略)そんな文学的演劇に対して、そうじゃない、演劇の最も底の所にあるのは観客を驚ろかすことである、という原点を示したのがアングラ演劇です』と語っておられます。
世の中が大きく変化する時代には、意外なことに、古典文学や古くからある舞台芸術が大きな変化のロールを果たすことがあります。現代では短歌がそうですね。文学の世界は常に小説中心であまり注目されていませんが、短歌の変化は、その業界(歌壇)の新人に対する姿勢も含めてとてもスリリングです。俳句が超保守化しているのと対照的ですが、この二つの古典文学のあり方そのものが現代を示唆しているところがあります。
演劇はもちろん舞踊など、身体を使った最もプリミティブな芸術表現も現代の変化を反映しています。ただ徒手空拳で新しいことをやろうとした前衛の時代はどのジャンルでも終わりました。どうしても譲れない古典的表現形態(基盤)を確認しながら、近過去の前衛を総括して前に進む必要があります。三浦さんの寺山さんや唐さんのアングラ演劇の総括は大変示唆的です。
ただ短歌や舞台芸術のスリリングな面白さを感受しても、それを小説や詩などの他ジャンルに即座に反映できるわけではありません。まず総括。それが必須です。寺山-唐のアングラ演劇ですら、きっちりと総括できていないわけです。比較的若い世代から、三浦さんのように文学文芸全体を捉えて総括を行える秀才が現れるのを期待しましょ!(笑)。
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