高嶋秋穂さんの『詩誌時評・歌誌』『角川短歌』の4連投です。角川短歌さんはベテランから若手まで、タレントが揃ってるなぁと思います。歌壇くらい人材が豊富だと、雑誌編集は比較的楽で楽しいでしょうね。
もちろん作家は自分のことが一番大事なのであって、雑誌を含む他者のことは本質的にどーでもいいと考えるのは無理ないことです。だけど社会と自己との関わりを作品にし、作品を不特定多数の社会に向かって発表する以上、他者への最低限の興味は必要です。特に自分が関わるジャンルのメディアは身近な他者ですから、一定の理解と協力ができなければ作家以前に社会人とは言えないでしょうね。
石川、角川短歌の巻末の方に掲載されている、若手歌人の勢いのある評論を読むのがけっこう好きです。あ、内容が素晴らしいとか、そうだよねぇと深く頷くという意味ではないですよ。勢いがあって好きなんです。若手っていう層は、思いきり先行作家を批判しなくっちゃだわ、と思います(笑)。作家に知性があれば、いずれ落ち着くところに落ち着きます。熾烈に批判を書けば書くほど、作家は後で読み返して自分でイヤになるものです。そんなもんだ、としか言いようがない。
文学上のあらゆる新しい動きは、違うなぁとか、こうした方がもっといいのに、といった批判意識から生まれます。それを先行作家もメディアも抑え込んで阻止してはダメです。驚くほど生意気なら、その意気込みを買ってあげるべきですね。リベラルな空気はそんなところからも生じます。作家があるメディアに執筆拒否するのはアリですが、メディアが作家を意図的にオミットするのはナシというか、やっちゃいけないことです。雑誌は雑であり、雑の中から新しい芽を育てていかなければならない。角川短歌さんは、そういう点でも今のところ理想的に回っています。
■ 高嶋秋穂 詩誌時評『歌誌』『No.049 俵万智エッセイ「エネルギーの源」と真中朋久短歌「みづたまり」(角川短歌 2018年03月号)』 ■
■ 高嶋秋穂 詩誌時評『歌誌』『No.050 特集「没後十年 前登志夫」と「現代ならではのテーマをどう詠うか」(角川短歌 2018年04月号)』 ■
■ 高嶋秋穂 詩誌時評『歌誌』『No.051 「現代歌人特集シリーズ 「かりん」創刊40年 馬場あき子」(角川短歌 2018年05月号)』 ■
■ 高嶋秋穂 詩誌時評『歌誌』『No.052 特集「身近な素材 いまこそ厨歌」(角川短歌 2018年06月号)』 ■
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