大野ロベルトさんの連載映画評論『七色幻燈』『第二十九回 君がよく見えない』をアップしましたぁ。ジェームズ・ポンソルト監督の『ザ・サークル』を取り上げておられます。エマ・ワトソンとトム・ハンクス主演です。ハリウッドお得意のIT近未来モノです。アメリカって、ホントにこのテの映画が好きですねぇ。
もちほかのITモノと同様に、テクノロジーバンザイではなく、批判的な視点で描かれています。だけんどこの問題に焦点を当てるのは難しい。特に大企業がテクノロジーで世界を支配しようとするプロットの場合はそうだな。全世界共通の情報インフラを作るのは難しい。抜け穴はいくらでもあります。またIT企業同士が熾烈な競争、つまりは新たな抜け穴作りをしています。
大野さんはSNSは『人間同士の距離を近づけるのと同程度に引き離しもするということが、すでに周知に事実となっている。未だに誤解を引きずっている人も少なくないようだが、SNSは人間のコミュニケーションのあり方を可視化するだけで、本質的に変化させはしないのである』と批評しておられます。
歪みは常に人間側に出るわけで、SNSで狂った人間を描く方がプロットとしてはスッキリします。積極的に情報発信すればするほど、知らなくてもいい情報を他者が知ることになり、それによって能力や人間性を見切られ、しかも当人だけはそれに気づかないということもあります。ただSNSがなくてもある人間の本質はいずれ明らかになる。文学者は日々他者の本を読んでそういった作業をしていますね(笑)。情報発信は自己主張の場だけでなく、他者からの自己評価を決定づけてしまう陥穽でもあります。
■ 大野ロベルト 連載映画評論 『七色幻燈』『第二十九回 君がよく見えない』 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■