大野ロベルトさんの連載映画評論『七色幻燈』『第二十七回 青いワインの底』をアップしましたぁ。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『渦』を取り上げておられます。大野さんはヴィルヌーヴ監督について、『その作品に通底するのはある種の「出口のない」状況である』と書いておられますが、そうかもしれませんね。
映像コンテンツは時代の影響を受けやすいところがあります。特に興行収入で成り立っている映画は時代のニーズに非常に敏感です。1980年代くらいまでは底抜けにハッピーな作品や荒唐無稽なコメディ映画がたくさん作られていました。だけど90年代くらいからじょじょに減りましたね。最近の映画は概して暗いような気がします。コメディタッチでもどこか暗い影があります。
それは確かに現代的な〝「出口のない」状況〟を反映しているのかもしれません。光と影、正と負のいずれかに大きくテーマを決めるのは、なんらかの規範がある時代の特権かもしれないのです。今はどっちつかずですね。誰もがほんの10年先ですら見通しにくいと感じている。そういう時代には希望も絶望も浅くならざるを得ません。
ただ時代は変わり続けるのであり、現代的などんよりとした状況に慣れるといつまでもこれが続くような気がしますが、必ず変わります。正確に言うと誰かが何かの作品や思想で新たなヴィジョンを提示すると、それを起点に近過去が整理されてゆく。人間の営みはこの繰り返しなわけで、新世代による新たな文化が始まれば、中途半端な作家たちは切り捨てられ忘れられてゆくということです。
■ 大野ロベルト 連載映画評論 『七色幻燈』『第二十七回 青いワインの底』 ■
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■ 予測できない天災に備えておきませうね ■