寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『助平(すけべい)ども』『八、波は穏やか』をアップしましたぁ。今回の小説は一回分ごとに原稿をいただいているのですが、そこそこ長い小説になる気配ですね。いいことです。
純文学系の作家の中にはいきなり前衛的作品を書こうとする作家がいますが、前衛になるしかない強い表現欲求を抱えている作家でない限り、あまりお勧めしません。小説だろうと詩だろうと結局は手仕事なのです。オーソドックスな技法をマスターしないで超絶技巧に挑もうとするのは無理がある。『ダブリン市民』の後に『ユリシーズ』があるのであって、その逆はあり得ない。
また『フィネガン』は一種の傑作ですがその先はない。なおも書き続けようとすれば、自らが生み出した前衛〝的〟手法の自己模倣になることが多い。若いうちはまだ体力があるので小手先の技術でバリエーションを生み出せますが、気力が衰えるとホントに弛緩した過去模倣作品になる。中途半端な前衛作家はだいたいこの道筋を通ります。その前に本が出なくなる(売れないから)ことが多いですけどね。
寅間作品はオーソドックスですが、この方法の方が作家としては長続きします。ただし書き尽くす必要が絶対にあります。書き尽くすということは、余計なことまで書いてしまうことも含みます。それを繰り返していれば違う地平に出る。小説作法のテニオハを変えるだけが前衛ではありません。人の耳目をいきなり惹いたりしないけど、長い間影響を与え続ける作品は、オーソドックスを抑えた作家の実験作が多いのです。
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『八、波は穏やか』縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『八、波は穏やか』横書版 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■