鶴山裕司さんの文芸評論『No.002 原点が存在する-『伊勢物語』論(後編)』をアップしましたぁ。日本文化を多角的に検討する評論『東洋学ノススメ』シリーズの一つです。鶴山さんは簡単に書けることを後回しにしちゃう傾向があります。詩や詩論はいつでも書けるのに、小説を書いたり文芸批評を書いたりする。古典文学論もその一貫ですね。新たな文学ジャンルを開拓して書けるようになる方が、馴染んだ文学ジャンルに埋没するより燃えるようです。物書きさんとしては基本的にはいいことです。
世の中には書くことが好きだけど、何を書いていいかわからないという人がいます。そういう方は、他者からお題のある仕事を与えられなければ継続的に書けない。いわゆるライター仕事です。もちろんライターにもプロがいるわけですが、ほっといても自分で仕事を作り出す作家とはやはり人種が違う。またライター仕事をしていても、本当に書くことが作家の肉体的自我意識と結びついてれば、いずれ自発的な書くテーマが見つかるものです。一部の大衆作家がそうですね。大衆作家は依頼があって初めて書くことが多いわけですが、一流大衆作家は必ずと言っていいほどテーマを見つけ、自発的にオリジナリティの高い作品を書く。そうなると純文学と大衆作家の区分など有名無実になります。
また社会全体の進む方向が見えにくい現代では、大衆作家より純文学作家の方がライター化している傾向があります。依頼がないと書けない。他者からの依頼原稿に頼りっきりなのに、それを純文学的作家アイデンティティにすり替えている面がある。しかし作家は原則としてどんな状況でもほっといても書く人たちのことです。特に純文学作家はそう。他人とは違う質の高い仕事をしているという自負があるのに、他人が自分の作品を認めてくれないと嘆くのは甘えです。高い質と量を備えた作品で他者を圧倒するのが正しい。質の高い作品を自発的に量産できるのがプロの第一歩です。
■ 鶴山裕司 文芸評論『No.002 原点が存在する-『伊勢物語』論(後編)』縦書版 ■
■ 鶴山裕司 文芸評論『No.002 原点が存在する-『伊勢物語』論(後編)』横書版 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■