青山YURI子さんの連載小説『コラージュの国』(第12回)をアップしましたぁ。青山さんには先月と今月、スペインの作家マルク・カエラス氏へのインタビューをしていただきました。今回は本業の小説です。『コラージュの国』は内容的は観念軸が目立って見える作品ですが、空間移動の幅が大きく、大胆な場面転換をしているところが青山さんのもって生まれた小説家の資質かもしれません。小説は時空間が一定量を満たしていないと長い作品になりませんからね。
教授はアルツールに『〝国〟なんて言葉も、概念ではわかるけど、上手くイメージできない。この大地に三つの国の雫が垂れれば、瞬時に混ざりあって凝縮してしまう、そう教えられている。人には腕や腹や足があるけど、全部つながっている』と言います。このあたりに作家が考えるコラージュの本質がありそうです。
原理的なものは、多分、あるのです。しかしそれをはっきりさせようとするとコラージュになってゆく。コラージュの中に原理があると言ってもいい。教授は『僕は、可能性のための可能性にはもううんざりで、今まで可能性の追求のために犠牲になってきた、手段としてしか見られてこなかったもののためにも、動きたくなったんだ』とも言います。原理の国は無限に可能性を生み出しますが、それを形にするためには違う時空間が必要だということでしょうね。
『コラージュの国』という小説は作家にとって――多分ですが――自身の創作平原の見取り図(地図)なのだと思います。この地図のどこかに腰を据えて、具体的な生活実感をもって暮らし始めれば、よりこの作家の特異性、特殊な能力がはっきりするでしょうね。鳥瞰図でも微細な地図ででも同じ本質を表現できる。どちらがポピュラリティを得られるかで作品の評価は違ってくるでしょうが、本質的には同じことです。
■ 青山YURI子 連載小説『コラージュの国』(第12回)縦書版 ■
■ 青山YURI子 連載小説『コラージュの国』(第12回)横書版 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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