小松剛生さんの連載ショートショート小説『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『NO.043 『グッドフェローズ』に憧れて/スープーマンの秘密/全部ソラニンのせい』をアップしましたぁ。
いつものようになんていうことはないショートショート小説なのですが、小松作品には切迫感があります。それだけ作家は追い詰められているということでしょうね。ただま、追い詰められてもハードルを越えられなければそれまで。どんなにいい資質を持っていても、表舞台に立ち続けなければ、自分より能力の劣った人であれ、人脈で世渡りするだけのズルイヤツであれ、誰かが先に行くのです。
新人作家さんたちは経験値がない。だから勢いがあったりするわけですが、一方で夢見る自身過剰な人になりがちです。でもぜーったい自分が思っている通りにはいかない。石川が文学の世界、厳しいと言っているのは嘘じゃありません。実社会で働くよりずっと厳しい。そりゃそうですよね、基本自分の好きなことだけして飯食っていこうなんて考えているわけですから。よほど力がなければそんなこと、許してもらえるわけがない。世間から見れば作家なんてお気楽な商売。現実には普通に会社勤めしている人より遙かに考え働いている人だけが書いて生き残れる。ちょっといい作品を書いて、ちょっと結果が出たくらいで安泰になるほど甘くない。
作家が恐れを知って、人の言うことをちゃんと聞くのはとても大事です。実際に体験してみなければ経験値は身につかないでしょうが、それを可能な限り先取りして考えておく必要がある。他者の体験を我がものにしておくわけです。また現実に痛い目にあって思い知ったら、意地を張らずに柔軟に方向転換すること。好き嫌いの感覚で物事を決めるのではなく、知性と勘を総動員して何が正解なのかを常に模索することです。最後のところ、ぜーったい誰も助けてくれない。自助努力で頭角を現した作家に少しだけ、人は手を差し伸べ助けてくれるだけです。
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■