寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『助平(すけべい)ども』『六、ホテル・バーリトゥード』をアップしましたぁ。時間とコストがかかった小説は説得力があるものです。松本清張の『黒革の手帖』なぞを読んでると、センセ、そーとー銀座で遊んでおられましたなって言いたくなります。「○○店開いたママ、いるじゃない、けっこうやり手でさぁ」「へーどんなふうに?」「それがさ、○○会社の社長いるじゃない。ほら、○○ママのアレでさ」といった小話を耳にして、そっから小説を構成していってるんですな。
小説家は取材することもあるんですが、取材にはやっぱ限界がある。知らない場所や業界に数回足を運んだだけで、底の底まで見通せることはまずない。一番身につくのは、なーんも考えずに遊んでた頃の経験。それもけっこう夢中で遊んだ頃の見聞はあとあと有利に働くことが多い。小説家の場合、ご本人がブラックだと困りますが、作品がブラックな世界を描いていてもいっこうに差し支えない。小説家は意外な経験が作品の肥やしになったりするんですね。
寅間さんの小説は、この作家、けっこう遊んでたなーってことが伝わってくるところがあります。おおっぴらに人に言えるような遊びだけぢゃないようですが(爆)。ただそれが強いリアリティを生んでいるところがあります。小説には柱となる作家思想が必要ですが、その肉となるのは細部のリアリティです。作り物だと弱くなる。ちょっとしたリアルな記述が小説の要になったりするのです。小説には作家思想が必要ですが、それは具体的な人、物、場所などで表現しなければならないわけですから。
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『六、ホテル・バーリトゥード』縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『六、ホテル・バーリトゥード』横書版 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■