佐藤知恵子さんの文芸誌時評『大衆文芸誌』『No.112 谷津矢車「雲州下屋敷の幽霊」(オール讀物 2016年12月号)』をアップしましたぁ。本題に入る前に、佐藤さんは枕で、思いがけずビンボー話で有名になった俳優の風間トオルさんについて書いておられます。
でもアテクシがホントに風間先生はスゴイと思ったのは、そんなプチ情報じゃないの。番組では風間先生以外にも子供の頃貧乏だった芸能人がたくさん出演しておられましたが、彼らの語る貧乏話って、突き詰めれば豊かさへの憧れよね。資本主義社会の底辺に生まれてしまった子たちが物心ついて自我意識に目覚め、資本主義的享楽から取り残された生活に落胆し、豊かな生活に憧れるってことです。俗な言い方をすると、もっとおいしい物を食べたい、キレイでオシャレな服を着たいetc.っていうこと。だけど風間先生は違うのよ。(中略)
風間先生の御著書を読んでもそんなことは書かれていませんが、先生は子供の頃に、何度も生死の境を見たお方なのよ。だから先生は資本主義的欲望とは無縁なの。豊かな生活に憧れることができるっていうのは、まだ余裕があるってことよね。先生はそんなレベルを通り超して、文字通り食べなきゃ死ぬ、気持ちを緩めたら終わりだっていう生活をしていらしたってことだわ。こういった肝の据わり方をしている方って、激戦地から帰還した兵隊さんくらいしかいないわよ。
佐藤知恵子
生死の境を見るというのは武士にも共通しています。江戸の太平の世になるとだんだん失われてゆきますけど、武士の根本は負けるとわかっていても黙って戦って死ぬことです。だから肝が据わり、稀にですけど大逆転が起こったりする。時代小説にはほぼ必ず武士が登場するわけですから、その原点を抑えておくのは何かと役に立つと思います。
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評 『大衆文芸誌』『No.112 谷津矢車「雲州下屋敷の幽霊」(オール讀物 2016年12月号)』 ■
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