岡野隆さんの『詩誌時評・句誌』『No.072 月刊俳句界 2016年12月号』をアップしましたぁ。特集『女性俳句ぬきに現代俳句は語れない!』を取り上げておられます。今、複数ある俳人協会協会員の約8割は女性のようです。俳句人口は圧倒的に女性が多いんですね。でもほとんどの結社や句会は男性俳人が場を仕切っている。そのあたりから岡野さんはジェンダーについて書いておられます。
ここまで来ると問題は、メビウスの輪のようにクルリと反転して最初の地点に戻ってきてしまうのではないかと思う。人間存在が認識把握できる抽象的真理などたかが知れている。〝その通り、だがしかし〟からしか文学は始まらないのではないかと思う。だから文学表現では抽象的高みではなく、その過程が問題になることが多い。人生の機微や矛盾が表現され、それが統合されてある抽象に至り着いていなければ、文学作品は魅力を発揮しない。ジェンダーであれなんであれ、自分が持っているものを出し惜しみしないで全部使うしかないのである。
岡野隆
社会学としてのジェンダーとは別に、文学では男女性差は表現の強いよりどころになります。男と女をまったく同質として捉えてしまうと、物語など生じようがない。作家がフェミニストであろうと男根主義者であろうと、文学に携わる限りは性差をうまく活用してゆかなければならないだろうと思います。んで岡野さんは大久保白村さんの『霜月』連作を引用しておられます。
霜月の暦の白き余白かな
氷上を徒渡るときみな黙す
罅走る竈はなれず竈猫
子規庵は子規庵らしく冬ざるる
何もなきやうで鼠のゐし冬田
冬田道昨日と同じ人と会ひ
討入りの日にして新聞休刊日
酒飲めず隠し芸なく年忘
大根の白とは描きにくき白
庭椅子に溜りし昨夜の落葉かな
大久保白村
こりゃ見事な俳句だな。石川も感心しましたですぅ。
■ 岡野隆 詩誌時評『句誌』『No.072 月刊俳句界 2016年12月号』 ■
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