岡野隆さんの『詩誌時評-句誌』『No.060 月刊俳句界 2016年06月号』をアップしましたぁ。『小説が描いた時代、俳句が描いた時代』という特集を取り上げておられます。元禄時代からほぼ現代までの俳句のアンソロジーです。岡野さんは『あきれるほどザックリとしたアンソロジーだが、こういうのもアリかなと思う』と書いておられます。
その通りなんですが、俳人に限らず詩人は小説を中心にした文学の世界のメジャー・ジャンルに弱いなぁ。一種のコンプレックスなんでしょうが、それと反比例するように〝俺は・私は詩人だ〟という、まったく根拠のないプライドが膨らみがちです。誰が見たって優秀な詩人は一世紀に数人です。詩人だから優秀なわけじゃない。また本当に詩人が優秀なら、小説でもなんでもメジャーと想定される文学作品を実際に書いて結果を出せばよろし。もしくは詩でポピュラリティを得る努力をもっとすべきだなぁ。
現代では、「わたくしは五七五に季語しか認めない古典的伝統俳人です」と言い切れる人は少ないだろう。「前衛俳人です」と胸を張れる俳人はもはや絶滅危惧種だと思う。じゃあどういう俳句を目指すのかというと、簡単に言えば「いい俳句が書ければそれでいい」ということになる。しかし現代ならではの〝いい俳句〟のヴィジョンが見えているわけではまったくない。勢い過去の俳句の秀作を眺め、模倣し、俳句作品のための作品を書くようになる。だが手詰まり感が強い。
(岡野隆)
作家が自己の表現ジャンルを大事にするのは当然です。しかし作家の視線が狭い詩壇に固着化してしまうのは危険です。詩人さんたちは寄り集まっては詩壇の噂話をしている傾向がありますが、誰が何したどーしたなど、作家にとっては本質的にはどーでもいいことです。現代という逃れられない状況を真正面から見すえ、過去の伝統に責任を負いながら新たな表現を生み出すこと以外に作家の仕事はありません。それには特定ジャンルを超えた広い視野が必要です。
■ 岡野隆 『詩誌時評-句誌』『No.060 月刊俳句界 2016年06月号』 ■
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