松本和也さんの演劇金魚『No.008 誠実な解釈/演劇の自由─三条会『熱帯樹』(作=三島由紀夫、演出=関美能留)』をアップしましたぁ。三条会の関美能留さんによって、新しい三島戯曲の可能性が拓かれたようです。
三島由紀夫は戦後作家の中では、なぜか若い人たちにけっこう人気の作家でふ。三島作品をある程度肉体感覚として知っている世代にとっては、彼は純文学作家であると同時にノリのかるーい流行作家でもありました。石川の若い頃には三島好きだと言ふと、『天皇万歳で国軍クーデターを唱えたあの三島が本気で好きなの?』と聞かれたりしたものですが、今はクリスマスやハロウィンが生活行事に定着してしまったやうに、そういった三島の政治思想とは別にシリアス作家一辺倒のパブリックイメージが確立してしまったやうですなっ。
松本さんは三条会『熱帯樹』について、『三島/三島演劇をめぐる重苦しくもシリアスな先入観が軽やかに吹き払われた後には、関演出の特徴ともいうべき、誠実かつていねいな戯曲解釈に基づいた、たいへん見晴らしのよい舞台が展開されていく。それはつまり、『熱帯樹』とは、隠された心理(戦)を絢爛華美な台詞と文学的想像力によって読みとるべき悲劇なのではなく、あまりにもあからさまな欲望を体現した5人の個性的な登場人物たちが、狭い場所・限られた時間の中で、それぞれが誰憚ることなく「熱帯樹」を育もうとして挫折する喜劇なのだということに他ならない』と批評しておられます。石川もそういふ三島戯曲解釈が正しひと思ひますぅ。
■ 松本和也 演劇金魚 『No.008 誠実な解釈/演劇の自由─三条会『熱帯樹』(作=三島由紀夫、演出=関美能留)』 ■