山本俊則さんの美術展時評『No.043 生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村(前編)』をアップしましたぁ。サントリー美術館さんで開催された、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)と与謝蕪村(よさぶそん)展の批評です。前半は主に伊藤若冲について書いておられます。
展覧会のタイトルに『同い年の天才絵師』とあるやうに、若冲と蕪村は正徳6年(1716年)生まれの同い年です。また晩年は現在の烏丸駅近くに住んでいて、家も近かった。交流関係も重なっています。ただどーも若冲と蕪村の交流は薄かったらしひ。はっきり言えば、並べて語れるやうな影響関係もないし、個人的交流もなひ(現在のところ確認できない)わけです。最近の若冲人気を当てこんだ企画展ですね。蕪村単体では確かにお客さんは集まらないかもなぁ。
山本さんは、『情報化時代においては、様々な事情を理解した上でコンテンツを楽しむ姿勢が必要だろう。現在の表・裏情報を含む大量の情報公開は、あらゆるジャンルで一種の〝神話解体〟を引き起こしている。しかし一方で拠るべき権威(神話)を失った世界は混乱してもいる。・・・本来なら従来の権威に代わる評価システムを作り上げなければならないはずなのだが、むしろ既存の権威にしがみつく人も増えているのである。それはあまり健全なことではない。「ああなるほど、事情はよくわかるよ」と納得した上であるコンテンツを評価するのが、本当の意味でのWin-Winシステムではないかと思う』と批評しておられます。
若冲も蕪村も素晴らしい画家さんであります。二人の優れた画家の作品を同時に見ることができた素晴らしい展覧会であったやうです。
■ 山本俊則 美術展時評『No.043 生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村(前編)』 ■