田山了一さんのTVドラマ批評『No.071 悪貨』をアップしましたぁ。wowowさんで放送されたドラマWシリーズです。ドラマWシリーズは原作アリで、芥川賞・直木賞作家の小説を題材にすることが多いです。『悪貨』は及川光博、黒木メイサさん主演で島田雅彦さんの小説が原作です。
田山さんは「(偽札偽造)事件は単に不安を煽り・・・経済を混乱させるだけで、何も生み出さない。何も生み出さないのは経済、金銭そのものが幻想だからだ、と言うのは容易い。ならば人の生も幻想で埋め尽くされているのだ、ということだ。最大の幻想が国家だとしたら、そのことに気づかせるのが大罪に値するわけで、つまりは・・・国家権力を脅かすからだということになる。それでこのドラマだが、そういう背景から期待される重みは、あまりない」と書いておられます。む~不肖・石川も同感だなぁ。
実は石川、原作をザザザッと読んだのでありまふ。む~、経済モノって、場合によっては実際に人間が死に追いやられることを、骨の髄まで体感した人でなければ表現できなひんぢゃないかなぁ。田山さんの批評を敷衍して言えば、贋金造りを小道具に〝実社会は幻想〟だと表現したかったのかなぁと思います。でもこの主題を経済モノで表現するのはとても難しい。もんの凄い経済のエキスパートでなければ、そのような幻想を(仮の主題としてであれ)表現するのは無理でせうね。
情報化社会といふ、誰もが簡単に情報を入手できるような社会では、読者・視聴者の目は一昔前に比べて格段に上がっています。実経済を描くなら、読者・視聴者がその背景を把握していない経済固有の有機的仕組みを描く必要があります。
なんかね、情報化社会になって、wikiあたりで情報を仕入れて書いたような小説が増えてますのよん(爆)。半沢直樹の原作者・池井戸潤さんは元銀行員、チーム・バチスタの原作者・海堂尊さんは医者です。餅は餅屋だわん。情報化社会を驚かすには、とっておきの情報が必要だといふのは一面の真理でせうね。