鶴山裕司さんの連載エセー『続続・言葉と骨董』『第027回 フィリピンのサント(前編)』をアップしましたぁ。不肖・石川、そーいえばクリスマスだなぁ、なんかプチ・特集やってもいいなぁ、できれば写真が映えるコンテンツがいーなーと思い、著者の皆さんにメールしたところ、鶴山さんから「いいよ」といふかるーいお返事をいただきました。フィリピンの木製の聖像・サントを取り上げておられます。ゲッ、キリスト教美術も持っておられるのねと驚きましたが、「古い仏像は高くて買えん」らしひ(爆)。意外と現実的なコレクション理由だったのねぇ。ただ茫漠とした骨董・古美術ロマンを排しているのが鶴山さんのエセーの特徴です。
不肖・石川、フィリピンがキリスト教国だといふことは知っていましたが、サントと呼ばれる聖像を大量に制作していたことは知りませんでした。例によって鶴山さんのエセーは的確に歴史を追って進んでゆくわけですが、隠れキリシタン遺物などにもフィリピン製イコンが混じっているやうです。考えてみれば当然だなぁ。イコンなどをすべてヨーロッパから運んで来るわけにはいかないですから、いち早くキリスト教化されたフィリピンなどで現地生産が始まったのだと思います。フィリピンのサントは本国スペインや、スペインの植民地であった南米にも盛んに輸出されていたやうです。
フィリピンのサントについては、一部の学者さんが研究されているのでしょうが、その成果はあまり一般に知られていないと思います。骨董好きでもサントについて、知識を持っておられる方は少ないんぢゃないかな。で、フィリピンのサントが美術的に劣るかといふと、そんなことはない。魅力をきちんと説明できる人がいないだけです。骨董の世界って、楽しいんですが、イヤな世界でもあります。権威大好きな人たちが、権威に弱いことを隠そうともせず、既成の権威(的作品)を後追いしている(買い求めている)やうなところがあります。でも本当の美術好きは、今まであまり注目されて来なかった物や作家を発見できる人たちです。フィリピンのサント、魅力的だと思います。
■ 鶴山裕司 連載エセー『続続・言葉と骨董』『第027回 フィリピンのサント(前編)』 ■