岡野隆さんの俳句評論『唐門会所蔵作品』『No.017 自筆原稿『句篇』その②―『句篇(二)-待機と蓮-』』をアップしましたぁ。文学金魚では『安井浩司俳句評林全集』(安井さんの全評論集で、今年11月に沖積舎さんから刊行予定)上梓を記念して、11月1日に安井さんへの新しいインタビューを掲載します。その下地作りといふ意味もありまして、今日から岡野さんの俳句評論(安井浩司論)を連続してアップします。
改めて説明しますと、金魚屋では2012年に『安井浩司「俳句と書」展』を開催しました。その際公式図録兼書籍を制作したのですが、安井さんからかつて参加していた主要同人誌一式をお借りし、唐門会さん(安井さんの私的ファンクラブ)から、安井さんが唐門会メンバーに贈呈した墨書や自筆原稿を大量にお借りしました。貴重な資料が含まれているため、主要同人誌については鶴山裕司さんが『安井浩司参加初期同人誌を読む』という評論(全20回・完結)をお書きになり。岡野さんが『唐門会所蔵作品』という評論を連載なさいました。岡野さんの連載も20回で完結する予定ですが、今回、その残りの分を連続してアップします。
安井浩司さんは富澤赤黄男・高柳重信を嚆矢とする前衛俳句の正統後継者であり、恐らく最後の前衛俳人です。金魚屋では安井文学を高く評価して『安井浩司「俳句と書」展』を開催したわけですが、金魚屋執筆陣が十全に安井文学を読み解けていたわけではありません。安井文学は極めて難解かつ摩訶不思議でありまして、その作品世界を誰もが納得がいくような形で読解した批評はまだ現れていないのです。
金魚屋では『安井浩司「俳句と書」展』から約2年をかけて断続的に、さまざまなアプローチ方法で安井文学を読み解いてきました。そしてここに来てようやく、安井文学の根幹に迫る批評的成果を上げることができるようになったのではないかと感じています。時間はかかりましたが、不肖・石川、文学金魚執筆陣の真摯な姿勢を誇りに思います。
先にも書きましたが、いたずらに状況を追うのではなく、ある対象の全貌を明らかにして、誰もが納得できるような文学的共通パラダイムを作り上げるのが文学金魚が考える批評行為であり、文学金魚的ジャーナリズムです。文学金魚的批評は難問を先送りせず、いわば正面中央強行突破するのでありまふ。
岡野さんのコンテンツは俳句評論(安井浩司論)ですが、文学金魚らしい評論になっています。また文学金魚は総合文学メディアであり、文学ジャンルをアプリオリに捉えるのではなく、各ジャンルの本質を探究・確認した上でジャンル内での新たな文学の可能性、あるいはジャンル越境の可能性を探ることを一つの目的にしています。俳句のことをあまり知らない方にとっても刺激的な評論になっていると思います。ぜひ読んでお楽しみください。
■ 岡野隆 俳句評論 『唐門会所蔵作品』『No.017 自筆原稿『句篇』その②―『句篇(二)-待機と蓮-』』 ■