外賀伊織さんの『Ongaku & Bungaku by Kingyo』『No.022 サイモン&ガーファンクル 『アメリカ』』をアップしましたぁ。『アメリカ』はサイモン&ガーファンクルの名曲ですが、『スカボロフェアー』や『明日に架ける橋』ほどは知られていないかな。外賀さんは『サイモンとガーファンクルの音楽を初めて聞いたのは映画館だった。マイク・ニコルズ監督の映画『卒業』を見に行ったら、全編にわたってサイモンとガーファンクルの曲が使われていたのだ』と書いておられますが、不肖・石川も同じだなぁ。1967年公開の映画であります。
外賀さんはサイモン&ガーファンクルの『アメリカ』の歌詞からアメリカ文化を読み解いておられます。『人間の自我意識は普通、貧困といった不孝によって最も先鋭になる。しかしアメリカは違う。むしろ美男美女で、使い切れないほどの財産を持つアメリカ人の中にこそ最もアメリカ的な憂鬱が潜む』と書いておられます。その通りでしょうね。アメリカのスターほど人気者で孤独な存在はいないやうに思います。最近ではマイケル・ジャクソンが思い浮かびます。
外賀さんはまた、『一九六〇年代末のアメリカではベトナム反戦と公民権運動が吹き荒れていた。特にベトナム反戦運動は時の政権に深刻な打撃を与えた。アメリカは移民の国であり、人種の坩堝(メルティング・ポット)である。人種も宗教も異なる人々は、アメリカを愛するという一点で結ばれているのである。だからアメリカという国家にとって、〝愛国心〟はほとんど国家の根幹に関わる思想だ・・・ニクソン・フォード政権で国務長官を勤めたキッシンジャーは、この時期のことを「ほとんど内線状態だった」と回想している』と書いておられます。
キッシンジャーの言葉は、確か彼の『外交』という本に書いてありましたね。大統領を始めとするアメリカの要人は、回想録を書くのが好きであります。でも肝心なところは書いてない(笑)。それもまた自由の国アメリカらしい現象でありますぅ。
■ 外賀伊織 『Ongaku & Bungaku by Kingyo』『No.022 サイモン&ガーファンクル 『アメリカ』』 ■