長岡しおりさんの文芸誌時評 『No.006 小説すばる 2012年12月号』 をアップしましたぁ。口語短歌をお書きになる歌人・千葉聡さんのエッセイ『黒板の隅に書いた歌』を取り上げておられます。千葉さんは高校の先生だそうです。
ちやうど文学金魚では、短歌の文芸誌時評を始める用意をしているところであります。とりあえず角川『短歌』さん一誌ですけれども。そんで短歌界のリサーチを始めております。短歌の世界、面白いですねぇ。相当に混乱といふか迷走しているやうな印象があります。
文学界全体がかつての勢いを失っているのは事実です。純文学作家さんが、原稿や本の売り上げで食べられる時代は終わったと言っていい。かつては詩人が大学の先生を務めておられることが多かったですが、今は純文学作家が大学の先生を兼務しておられます。
小説がそういう状態ですから、文学業界全体の 〝純文学〟 (元々原稿で食べていけるジャンルではないといふ意味です) である詩の世界はさらに悲惨です (これも業界に勢いがないといふ意味であります)。中でも自由詩と短歌の業界は難しい時期に入りましたね。
俳句界は 〝俳句形式〟 の力が強靱なせいか、まだ活気があります。でも自由詩と短歌の世界は、ジャンルのアイデンティティそのものが見失われているやうに感じます。はっきり言いますと、誰も自由詩や短歌を読んでいない。外の世界を意識すれば、そう言わざるを得ないのではないでしょうか。
この状況をどう打破すればいいのか、不肖・石川には皆目わかりません。でも恐らく特効薬はないでしょうね。まず現状を厳しく認識して、なぜ自由詩、短歌でなければならないのかのアイデンティティをはっきりさせることから始めるほかないように思います。
■ 長岡しおり 文芸誌時評 『No.006 小説すばる 2012年12月号』 ■