総合文学ウェブ情報誌 文学金魚

私達の故郷は日本語です。金魚屋プレス日本版は、日本語で書かれるあらゆる文学の方向を見極め、私達の精神の行く末を照らす光りを見出そうとするものです。 金魚屋プレス日本版はその光りのすべてを広義の文学と呼びます。

金魚屋プレス日本版代表 齋藤都

Author Archive
No.027 私たちの中に眠る飛翔の夢

No.027 私たちの中に眠る飛翔の夢

     20世紀の美術を代表する彫刻家の一人であるコンスタンティン・ブランクーシの生誕から、今年でちょうど140年になる。彼は1876年2月19日にルーマニアのゴルジュ県にあるホビツァという村で生ま […]
No.029 能と物語の生命力―〈佐保山〉

No.029 能と物語の生命力―〈佐保山〉

    【公演情報】 公演名 金春会定期能 会場  国立能楽堂 鑑賞日 1月17日 演目  能〈佐保山〉、狂言〈佐渡狐〉、能〈巴〉、能〈鞍馬天狗〉      能の愛好者は、新年に初 […]
No.026 教会と反抗期

No.026 教会と反抗期

東京復活大聖堂(ニコライ堂)      年末年始はキリスト教ではいくつかの大事な祭日が連続する。まずはクリスマス(キリストの誕生を祝う日)があり、25日から27日の三日間教会では礼拝が行われている。次 […]
No.028 シェイクスピアと世阿弥の間―能『ロミオとジュリエット』

No.028 シェイクスピアと世阿弥の間―能『ロミオとジュリエット・・・

    【公演情報】 会場 国立能楽堂 鑑賞日 12月8日 原作 上田(宗片)邦義 節付・作舞 野村四郎 演出 笠井賢一 出演者 シテ(ロミオ) 野村四郎 ツレ(ジュリエット) 鵜沢久 ツレ(乳母)  […]
No.025 平和に暮らすこと

No.025 平和に暮らすこと

     この間ひょんなことをきっかけにちょっと不思議な悟りの瞬間を体験した。文京シビックホールでコンサートを見に行ったある日の昼頃だった。開演20分前に会場に着き、昼ご飯を食べる時間がないが、コーヒ […]
No.027 三島由紀夫に勝つには―現代能楽集VIII『道玄坂綺譚』

No.027 三島由紀夫に勝つには―現代能楽集VIII『道玄坂綺譚・・・

    【公演情報】 公演名 現代能楽集VIII「道玄坂綺譚」―三島由紀夫作「近代能楽集『卒塔婆小町』『熊野』」より 会場 世田谷パブリックシアター 鑑賞日 11月10日 作・演出 マキノノゾミ 企画 […]
No.024 松浦(下)

No.024 松浦(下)

     鳥居を通り抜けて道路に沿って登山をはじめてから間もなく、雨が降り出した。山登りには妨げにならない穏やかな霧雨だった。リュックの中から折りたたみ傘を出して傘をさしながら歩き続けた。スマフォの地 […]
No.026 恋愛の異化 ― 木ノ下歌舞伎『心中天の網島』

No.026 恋愛の異化 ― 木ノ下歌舞伎『心中天の網島』

    【公演情報】 会場 こまばアゴラ劇場 鑑賞日 10月5日 作 近松門左衛門 監修・補綴 木ノ下裕一 演出・作詞・音楽 糸井幸之介 音楽監修 manzo 出演 紙屋治兵衛 日高啓介 紀の国屋小春 […]
No.023 松浦(中)

No.023 松浦(中)

     福岡空港への便は朝6時頃出発予定だったので、終電で夜中に成田まで行き、出発までの4、5時間を空港で過ごすことにした。唐津までどうやって行けばいいか調べてみると、国内線が便利だと分かった。成田 […]
No.025 敗北者の視点から見た英雄譚―能〈鵺〉

No.025 敗北者の視点から見た英雄譚―能〈鵺〉

    【公演情報】 国立能楽堂定例公演 鑑賞日 9月16日 演目 狂言〈蚊相撲〉(大蔵流)、能〈鵺〉(宝生流) 出演   狂言〈蚊相撲〉   シテ(大名) 茂山 千五郎   アド(太郎冠者) 茂山 […]
No.022 松浦(上)

No.022 松浦(上)

     能〈松浦〉の研究を始めてからちょうど1年間になる。ゼミの参加者はそれぞれ一つの能作品を選んで、上演の歴史から詞章の変遷まで、色々な視点から作品について研究報告をすることになった。私は思い切っ […]
No.024 文化の交差点に立つ落語

No.024 文化の交差点に立つ落語

    【公演情報】 立川志の春 ― 英語落語独演会 会場 ブリティッシュパッブ FooTNIK 鑑賞日 8月3日      英語で落語を演じる立川志の春氏に出会ったのは、国際交流 […]
No.021 Atlantykron

No.021 Atlantykron

©Bogdan Banarescu      毎年7月後半になると、国の友達から連絡が来る。「島に来ないか?」という連絡。「島」はルーマニアの南東にあるチェルナヴォダという町から20キロくらい離れた、 […]
No.023 江戸時代の能とそれ以前の能の面影―古本による「水無月祓」

No.023 江戸時代の能とそれ以前の能の面影―古本による「水無月・・・

    【公演情報】 国立能楽堂7月 月間特集「江戸時代と能」 演目 狂言『月見座頭』、能『水無月祓』 鑑賞日 7月3日 出演  『月見座頭』 シテ 座頭 大蔵彌太郎 アド 上京の者 大蔵吉次郎 『水 […]
No.020 花の名前

No.020 花の名前

     スチャヴァ県の田舎を走る各駅停車の車窓から、遠く彼方に並ぶ、山と山の麓まで広がる緑の野原が見える。外の眩しい景色に見とれて、わぁ~いと声を出してはしゃぐ4歳ぐらいの私は、一人の兵士の膝の上に […]
No.022 CG時代の歌舞伎―市川海老蔵自主公演 ABKAI 2015

No.022 CG時代の歌舞伎―市川海老蔵自主公演 ABKAI 2・・・

    【公演情報】 公演名  市川海老蔵第三回自主公演 ABKAI 2015 会場   渋谷シアターコクーン 公演期間 6月4日~21日 鑑賞日  6月9日 演目   一、新作歌舞伎「竜宮物語」   […]
No.019 懐かしい影に魅せられて

No.019 懐かしい影に魅せられて

     この間J・R・R トールキンの『指輪物語』のことを思い出した。映画『ロード・オブ・ザ・リング』の基になった、架空の世界「中つ国」を舞台としているあの物語である。映画化されてから世界中で一気に […]
No.012 往生から見た世界―荒木経惟写真展

No.012 往生から見た世界―荒木経惟写真展

Nobuyoshi Araki, installation view at Taka Ishii Gallery Photography / Film, May 25 – Jun 20, 2015 Photo: Kenj […]
No.021 文化の交差点に甦るギリシャ悲劇――錬肉工房『オイディプス』

No.021 文化の交差点に甦るギリシャ悲劇――錬肉工房『オイディ・・・

    【公演情報】 会場 座・高円寺2 鑑賞日 2015年3月27日 作 ソポクレス/高柳誠 構成・演出 岡本章 音楽 細川俊夫 出演 桜間金記(能楽)  田中純(糸あやつり人形)  笛田宇一郎(現 […]
No.018 ショウブの季節

No.018 ショウブの季節

     花を相手にする時、頭の中の言葉のざわめきが落ち着く。花は一言も発声しないのに、とてもたくさんのことを教えてくれる。生け花は、手元に来る花一本一本の話を聞くようにするところから始まる。人(ヒト […]
No.017 神様の居場所

No.017 神様の居場所

© Karina Botis      この間はイースターの日だった。春の訪れとともにキリストの復活を祝うこの日は、キリスト教徒にとってはもっとも大事な祭日で、教会にめったに行かない人もイースターは守 […]
No.020 能の復曲と改作の意味をめぐって--観世流による〈綾鼓〉

No.020 能の復曲と改作の意味をめぐって--観世流による〈綾鼓・・・

月岡耕漁 「能楽図絵」より「綾鼓」   【公演情報】 公演名 横浜能楽堂特別公演 鑑賞日 2月21日 演目  狂言〈石神〉(大蔵流)、能〈綾鼓〉(観世流) 出演  能〈綾鼓〉(あやのつづみ)     シテ(老人 […]
No.016 写真に、愛を試される瞬間

No.016 写真に、愛を試される瞬間

     荒木経惟の写真に出会ったのは大学3年生の頃だった。大学の近くに新しく出来た本屋には、日本文化関連の本として前から馴染んでいた岡倉天心の『茶の本』、鈴木大拙の『禅』やルーマニア人作家による日本 […]
No.015 ヨーロッパの女がズボンをはいている訳

No.015 ヨーロッパの女がズボンをはいている訳

     3月8日は国際女性の日で、ルーマニアでもこの日とその前の立春の日(3月1日)には女性がプレゼントをもらう。日本ではひな祭りもホワイトデーも3月にあり、春の季節が始まる今月はなぜか女性がちやほ […]
No.019 影と遊ぶ女――木ノ下歌舞伎『黒塚』

No.019 影と遊ぶ女――木ノ下歌舞伎『黒塚』

    【公演情報】 会場  こまばアゴラ劇場 公演期間 3月11日~22日 鑑賞日 3月13日 監修・補綴 木ノ下裕一 演出・美術 杉原邦生 出演 阿闍梨祐慶 夏目慎也 山伏 大和坊 福原 冠 山伏 […]
No.014 ヨーロッパという名の幻想

No.014 ヨーロッパという名の幻想

     日常的な周りの人との会話で、日本人が抱くヨーロッパのイメージと自分の持っているヨーロッパのイメージの間に、かなりのズレがあることに気付かされる。この間知り合いに実家から届いたチョコレートをプ […]
No.013 咲

No.013 咲

     ルーマニア語に”haz de necaz”(ハズ・デ・ネカズ)という言葉がある。大変な時にこそ笑うという意味なのだ。困った時、ひどい目に合った時、本当は泣きたい時など […]
No.018 毒の入った子守唄――万有引力『身毒丸』

No.018 毒の入った子守唄――万有引力『身毒丸』

    【公演情報】 公演名 説教節の主題による見世物オペラ 身毒丸 会場 世田谷パブリックシアター 公演期間 2015年1月29日~2月1日 主催 演劇実験室◎万有引力 作 寺山修司 演出・音楽 J […]
No.012 人生を変えるような出会い(下)

No.012 人生を変えるような出会い(下)

     大学2年生から日本文学の勉強をはじめた。既に一年間、日本語の勉強をしていたが、さすがにまだ原文で古典を読むことはできなかった。『源氏物語』の最初の九帖はルーマニア語に翻訳されているが、それ以 […]
No.011 人生を変えるような出会い(上)

No.011 人生を変えるような出会い(上)

     能楽に出会ったのは高校の時だった。その頃、演劇に興味を持つようになり、学校の先生が行っていたEnglish Dramaという授業に通い始めた。この授業のコンセプトは、英語を使って文化祭で上演 […]
No.017 めでたい夢で新春を迎える ― 特別公演「初夢とともに」

No.017 めでたい夢で新春を迎える ― 特別公演「初夢とともに・・・

    【公演情報】 会場  国立能楽堂 鑑賞日 1月10日 演目  能〈富士山〉、狂言〈茄子〉、能〈野守〉 出演 能〈富士山〉     前シテ(海女)/ 後シテ(富士山の山神)金春 安明     前 […]
No.010 心への窓

No.010 心への窓

     前回はクリスマス関連で少し東欧のキリスト教の話をした。実は東欧の国々だけではなく、ヨーロッパ全体について何かを語ろうとすると、ある段階から必ず宗教の話に入らざるを得ない。あまり認められていな […]
No.016 和泉流狂言の現在形―『万作を観る会』

No.016 和泉流狂言の現在形―『万作を観る会』

    【公演情報】 公演名 『万作を観る会』(平成26年11月19日・22日開催) 会場 国立能楽堂 鑑賞日 11月22日(第二日目) 演目  〈三番叟〉(神楽式 双之舞)    三番叟 野村万作  […]
No.009 クリスマスの日

No.009 クリスマスの日

     この前、しばらく連絡を取っていない地元の友達からメールが来て、クリスマスの次の日に共通の友人達の集まりがあるので、参加しないかと誘われた。クリスマスの時には帰省するのが当たり前なので、わたし […]
No.008 二つの世界を結びつける音楽-『故郷のバラード』

No.008 二つの世界を結びつける音楽-『故郷のバラード』

     髙樹のぶ子著『百年の預言』という小説をご存知の方もいらっしゃるかと思う。25年前の東欧における政治的革命を背景にした二人の男女の恋愛物語で、ルーマニアの作曲家チプリアン・ポルムベスクが作った […]
No.007 故郷とそこから見える風景(下)

No.007 故郷とそこから見える風景(下)

     学校と家が生活の軸になっていて、子供がそれ以外のことを何も知らずに過ごしてしまうのは、多分どこでもよくあることだと思う。高校2年ぐらいまでは、自分の生まれ育った町を詳しく知っていたとは言えな […]
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