小原眞紀子さんの 『金魚エセー』『No.006 宇治まで(前編)』をアップしましたぁ。京都旅行のエセーです。小原さんは文学金魚で『文学とセクシュアリティ-現代に読む源氏物語』を連載しておられますが、源氏の舞台の京都は久しぶりのようです。もちろん源氏は西暦1000年頃の成立で、驚くべきことにと申しましょうか、もう1000年以上も経っちゃったわけで、当時の面影は少ないです。ただ漫然とした旅行でも、取材は行ったら行っただけのことがあるものです。

 

 「宇治には、どう行くのがいいですか」

 仲居は、姉小路通の宿から京阪三条駅まで出て、と説明しかけ、「後で聞いてきます」と言う。京都に住む人もよく知らぬのか。それも京は京であって、宇治はやはり滅多に行かぬ鄙の証しだろうか。

 

エセーの出だしですが、この単刀直入な書き方はいいですねぇ。小原さんは小説・自由詩・批評をお書きになりますが、こういった書き方に、小説で培われたテクニックがよく出ています。文章にはいろんな書き方がありますが、単刀直入にテーマを描き、その後でうねうねと寄り道して読者を言語的愉楽の世界に導くのもその手法の一つです。

 

最初に宇治行きのテーマが出されましたが、まず小原さんが訪ねるのは嵐山に近い鹿王院(ろくおういん)です。足利義満創建ですが、応仁の乱で廃絶し、江戸寛文年間に酒井忠和によって再興されました。最近、日本各地の観光名所が外国人観光客でごった返していますが、嵐山近辺もすごいことになっているようです。ただあまり観光ガイドブックには載っていない静かな鹿王院を堪能して、小原さんは目的地の宇治に向かうのでしたぁ。

 

 

小原眞紀子 『金魚エセー』『No.006 宇治まで(前編)』 ■