【金魚屋新人賞受賞作】酒井聡 連作エセー No.002『貧乏のたまもの』をアップしましたぁ。グラフィックスを多用した美しいエッセイです。こういった形式の表現(本)もあっていいと思います。内容も面白い。
日本に限らず世界中の先進国で経済格差が問題になっていますが、わたしたちはおおむね豊かな社会に暮らしています。その豊かさと、その底に潜む不安と焦りのようなものを表現した作品は少ない。特に小説の世界ではそうだと思います。純文学作品では相変わらずしみったれた生活が描かれることが多いですから(笑)。
豊かな社会で人の心に欠落のように潜む不安や焦りは精神的なものです。うんと俗に言って有名になりたい、アイドルや画家や小説家として名前が知られて世間からチヤホヤされたいでもいい。ただそういった精神的欠落を描くのは案外難しい。豊かなまま精神の欠落を描くのは簡単ではないのです。
ゴージャスな不安。それを的確に表現した文学はまだ日本では存在しないように思います。村上春樹さんの小説がそれに近接しているかもしれませんが、まだ的を射貫いた感じがしない。酒井さんの『貧乏のたまもの』はエセーですが、この作家にはゴージャスな不安を文字で、グラフィックスで表現できる可能性があるように思います。
■【金魚屋新人賞受賞作】酒井聡 連作エセー No.002『貧乏のたまもの』日本語版■
■【金魚屋新人賞受賞作】酒井聡 連作エセー No.002『貧乏のたまもの』英語版■
■ 金魚屋 BOOK SHOP ■
■ 金魚屋 BOOK Café ■