松原和音 連載小説『学生だった』第05回をアップしましたぁ。昨日は子どもの日で昔は端午の節句でしたが、女百科の松原さんの小説アップでした。とは言いましても自分以外の女の子に注がれる批判的というより本質を抉る視線は、当然自分に跳ね返って来ます。
「せんせっ」
斜め前から、甘ったるい声が聞こえてくる。襟開きの広いVネックを着た女の子だ。女子大だから、女の子しかいないけど。
「質問をどうぞ」
うふっ。とでも言いたそうな表情を浮かべている。内気で声を出せないと思ったのか、彼女のほうに先生が寄ってきた。
「この単語の意味って、なんですか?」
「どれどれ」
先生は、のぞきこみ、当惑し答えを飲み込んだ。
「あっ。わかりました。ありがとうございます」
なにを聞いたのかなんとなく予想がついて、他の女子たちもにやにやした。いつも葛藤の中心にいて、どうにもならなくて。周囲に戸惑いをまき散らす。それが、女の子だ。
松原和音『学生だった』
ああいいですねぇ。こういう記述(エクリチュール)大好きです。『学生だった』は純文学小説ですが、このエクリチュールに事件性と通俗性を持たせれば売れっ子大衆作家になれるかもです。
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