松原和音さんの連載小説『一月のレモネード』(第10回 最終回)をアップしましたぁ。『一月のレモネード』は今回で最終回です。小説は時空間を設定したフィクションの物語ですから、当然どういう時空間かに影響されます。
主人公のミクは東京の女子高生らしい女子高生ですね。『一月のレモネード』のようなスマートな詐欺話は都会ならではだと思います。もち時空間を地方都市や田舎に設定したら、その土地に根付いたリアリティを追い求める必要があります。要は作者が自分が設定した時空間に意識的である必要がある。設定した時空間を相対化してその特徴や魅力を最大限に引き出さなければなりません。自己の物語を相対化して読者側から眺める視線ですね。
また『一月のレモネード』はスラリとまとまっています。水のように淡い。それが思春期の主人公の心情によく合っています。ムリをしていない小説だとも言えるわけで、これは何本も小説を書いていると必ず行き当たるポイントだと思います。
小説は作品としてまとまり難い。圧のかけかたが難しくバランスが悪いとデコボコになります。大別すればスラリと流してまとめる方法と、計算して圧をかけまくる方法がある。前者なら透明になるほど流す、後者ならドン、ドン、と圧をかけていって大きな大団円を作ることになる。どちらがいいとは言えませんが、無理なく小説をまとめる技術は必須です。
松原さんにはまた小説を連作していただく予定です。石川、最初に文学金魚新人賞に応募なさった時から作品を読んでいますが、着実に上手くなっておられると思います。
■ 松原和音 連載小説『一月のレモネード』(第10回 最終回) 縦書版 ■
■ 松原和音 連載小説『一月のレモネード』(第10回 最終回) 横書版 ■
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