第8回金魚屋新人賞受賞の松岡里奈さんの小説『スーパーヒーローズ』第07回をアップしましたぁ。高校時代篇です。女の子たちの世界が非常に良く描かれています。このテの小説はかなり書かれてはいるわけですが、女の子たちの水のように凪いだ世界は動揺してくれなければ小説にはなりません。物語は生じないわけです。
『スーパーヒーローズ』では波乱を起こす要素は二つです。一つは当然のことながら男。もう一つはイベットに表象されるイデアです。もちろん男にもイデアの要素はあるわけですが、それが女の同級生に対しても投影されるのが『スーパーヒーローズ』の特徴というか醍醐味です。
先程まで私の横にいたイベットを想像の中で引きずり出した。マジックで美しい顔に汚い言葉を書いてやった。もう見えなくなる程彼女の顔を黒く塗りつぶしてやった。考えうる罵倒を全てぶつけた。彼女の髪から、体型から、そばかすから、彼女にまつわる全てを罵倒した。
余分な肉のない、鋭角な、針を思わせる顎を掴んでこちらを向かせてやりたいと思った。そして私の為に口を開かせてやりたい。あの女が、私の為に何か物を言う所を見たいと思った。
松岡里奈『スーパーヒーローズ』
聖化と瀆聖が表裏一体になって表現されます。こういった小説は今までなかったですね。ただ小説は地上の物語でほんの少しだけで天上に突き抜けることを許される表現というか芸術なので、単純な聖化は小説的には意味がないのです。
■ 松岡里奈 連載小説『スーパーヒーローズ』(第07回)縦書版 ■
■ 松岡里奈 連載小説『スーパーヒーローズ』(第07回)横書版 ■
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